画面の向こうの、

観終わったときに書くところ。ネタバレがあったりします。

「アンダーグラウンド」

映画って、自分で選んでみているわけで。
いざ見始めたときにヤバイ映画だったとき、
それを選べた自分のセンスに感服する
本当に幸福だと思う。毎回思うんだけどね。

で、ヤバイ映画って、たいてい最初からヤバくて。
この映画も例に漏れず、最初からヤバイ
(その時点では)謎のおじさん2人が
強烈なブラスバンドを引き連れてやってくるんだもの
そしたら次はどうやって撮ったの!?な動物の数々。
そして落ちてくる爆弾。

戦争のお話なんだけど、ずっと喜劇。でも悲惨。
とにかくほとんどずっとブラスバンドが狂奏していて
それに合わせて登場人物も狂演している
その圧巻たること。どうしたらこんな映像が撮れるのか…。

私は本当に歴史に疎くて、しかも世界地図にも疎くて、
ここから物理的に遠い地の戦争の話は全くわからないのが
本当に勿体ないなぁ、と思う。地名とかが全然わからない…。
もう少し元気なときに改めて調べてみようと思います。

この映画が撮られた時点ではまだ内線が続いていた?らしくて
こんな風にひっちゃかめっちゃかに、
非現実的な喜劇にでもしないと描けなかったんだろうと思う
それでも描かなければならなかった、
「昔ある所に国があった」と子供たちに伝えるために。

あぁ。

「祖国」とはなんなのか、「国」とはなんなのか。
とても難しくて、いまの私には答えなんかとても出せない。

この映画、ただでさえ3時間あるんだけど
何やら5時間ある完全版があるみたいで
そっちも是非みて補完したい。
そもそもこの監督のほかの映画も気になる。

メインテーマの曲が頭から離れないわ…。

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4.5/5.0
監督:エミール・クストリッツァ
1995年のフランス、ドイツ、ハンガリー映画

「ネオン・デーモン」

最初はどうしても「ブラックスワン」と比べてたけど
後半に進むにつれ、全然違うお話だったわ。笑

ただ、やりたいようなことがわからなくも無いけど
それにしても急展開すぎるというか。
ふんわりと薫らせておいても良かったのでは?

ジジはもともと整形まみれで、
「本人」とはかけ離れていたんでしょう
それでカメラの前に立つことも何も怖くないけど
サラはカメラの前に立ったときに
「自分じゃ無い」ことに気付いたのかも。
だから吐き出そう、取り出そうとして
ジジは欠片の目玉でさえ取り込もうとした

まぁ、あんな状態で目玉出てこないと思うけど。
大きすぎて食べられないし消化されてそうだし。

そういう意味でも、全体通して映像美。
とにかく映像美を極めたかった映画なんだなぁという感じ

その反面、ジェシーの初撮影のシーン、
カメラの前では金に塗れたヌードのはずなのに、
観客にそれが一切見せられないのはどうかと思う。
役者的にヌードNGだったのかも知れない。
けどあのシーンはどう考えても晒す必要があったと思う
結局どんな写真に仕上がってるのかもまるでわからないし
ほんとうに勿体ないし、興醒め。

タイトルの「ネオンデーモン」というのも消化不良
ルビーのこと?ジジのこと?カメラマン?
それとも本人に棲まう悪魔的な?
どれもなんとなくしっくり来ない。

映像美だけど狂気が足りないのかなぁ。
とにかく何かが足りない。
少しスパイスかけてあげればぐっと良くなりそうだけど
それが何かはわからない。

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3.3/5.0
監督:ニコラス・ウィンディング・レフン
2016年のアメリカ、フランス映画

「イレイザーヘッド」

たしかに、難解なのはわかる。
けど、鬱映画と言われているのには反論。
なんかすっきりした!笑

悪夢をそのまま映像化したみたいな映画

異形の赤ん坊は何なのか、
あの家族は何なのか、
ヒトだとしても怖ろしいし、
人外だとしても怖ろしい
泣き声だけは普通の赤ん坊のような声なのが
また気持ち悪さを増す要因

子供を育てる、という一点でみると
少しは眠りたいと言って夫に任せる妻もあり得るし
いざ自分がつきっきりで子と居ると
気を病んでいく夫というのもあり得るし
意外とストーリーの中核は普通なんじゃないかと思う
表現は普通じゃないし奇形だけど。笑

個人的には好みのアート性では無いかなぁ
嫌いでも無いけど…
白い女の子(?)が歌うシーンは好き

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3.6/5.0
監督:デヴィッド・リンチ
1976年のアメリカ映画