画面の向こうの、

観終わったときに書くところ。ネタバレがあったりします。

「かぐや姫の物語」

つち、くさ、むし、とり、けもの、
めぐる、まわる、いきるということ

ジブリはこの「生」というテーマをよく扱うけど
これがひとつの頂点なのではないだろうか

現代は、便利だけど無機質なものに溢れかえっていて
そのすべてが当たり前ではないということ、
この映画の土や草のにおいが
もう届かない人すら多いのかもしれない。
私はそれが恐ろしい。
天の衣を纏ってしまったわけではない筈なのに。

だからと言って、私自身、この、便利性を手放せもせず、
では何が出来るのか?と問われれば
ただ感謝していただくことしか。

でもそれで良いのだと思う。


日本の四季の美しい色が淡くはっきり描かれていて
かぐや姫の眼に映っている色なんだろうなあと思う
走って逃げるシーンの黒々とした木々、
庭を偽りだと悲しむシーンも黒っぽい。
そう思うと宮中は本当はもっと煌びやかなのかもしれない。

昔々の物語を、うまく現代的要素も取り入れていて
主要キャラ達は少しポップなキャラ付けで、
台詞も今風、見やすく、聞きやすい
でもお歯黒やら名付けやら、きちんと押さえるとこは押さえ
長めの映画なのに集中力途切れずみられた

お金目当ての、ただキャラクターが出るアニメじゃなくて
こういう映画を、きちんと
世界に、日本人こそに、知ってほしい
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5.0/5.0
監督:高畑勲
2013年の日本映画