画面の向こうの、

観終わったときに書くところ。ネタバレがあったりします。

「女王陛下のお気に入り」

私ってもしかしてドロドロ劇好きじゃない?
いやそんなこと無いと思うんだけど…
少し助長に感じた。

いちおう史実の人物が出てきて、
政治的な話も出てくるけど
別に関係ない、フィクション
そして女同士の戦い
日本の映画やドラマの「大奥」のよう。

とにかくきれい。
無言の、表情で魅せる演技、
それに耐えうる演技力と美貌、或いは醜さ
優雅な音楽が広がりと余裕を感じる。
映画そのものの余裕、というか。

終始衣装のレースに拘りを感じる
きっと制作陣のなかにレースフェチが居たんだわ…
ただ、べつに当時のレースを使っているわけではなく、
衣装のデザインと共に現代的。
台詞の感じも現代的。Fとか言いまくり。

なんかなぁ…もう一悶着欲しいような…
結構あっさりと逆転し、そのまま勝った
でもそれはあくまで女王の僕なだけで
それ以上のし上がれないし、全てを手にした虚しさ。
一方、女王はただ愛が欲しいだけなのに、
利用され、もはや冷たくされ、
それでも、だからこそ、性という愛の欲に勝てない。

兎は性欲の象徴。
踏み潰して勝ったつもりになっていても
女王には勝てない、逆らえない。

人間勝ち負けだけでは何も満たされない、という話かな
そう考えれば、国外追放になった側の方が、
本当の幸せをいつか掴めるのかもしれない。

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3.4/5.0
監督:ヨルゴス・ランティモス
2018年のアイルランドアメリカ、イギリス映画

「memo」

難しい…映画だ…
コント映画とでも呼ぶべきなのかしら?
コント的な、多分、笑いの場面と、
シリアスな強迫性障害の場面とが、
絡み合いというか、ううん…複雑。

何より私は「笑い」がわからないんだよね。
多分、笑わせようとしてる…みたいな…

日本の映画は、意図せずシュールになってたり、
意図せず説明不足だったりするけど、
たぶん、このシュールさ、語らせ無さって、
計算尽くされた世界観なんだろうなぁ。
強迫性障害の場面だけを真剣にやると、暗くなるから
コントさを突っ込んできているような感じ。

「実体験をもとにしている」というのが、
まゆこの、メモをとるなのか、
おじさんの、手を洗ったりしゃべり続けたい方なのか、
あるいは両方なのかわからないけど、
当人のつらさ、というのがすごく表れてる
だけど、実際に口にだして「こう思ってる」とかは無い。
かつ、環境や過去に対しての説明も無い。
(カウンセリング?行けるなら先生にも相談したら?とか
 親は知ってるの?どう思ってるの?とかは野暮なんだと思う)
ただただ、「本人」にフォーカスが当たっている感じ。
クラスのイジメられっこですら最後には「本人」が出てきてた

ようは、めちゃくちゃ良い映画なんだと思う。
けど好きか?と聞かれると、前半はコント多めで結構苦痛…
だから感想は一行目にもどる。難しい映画だ…。

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3.2/5.0
監督:佐藤二朗
2008年の日本映画

「鳥」

これ…そんなに怖いか…?
いろいろなところで目にしていたから、
期待しすぎていたのかも。

そりゃあ、鳥は怖い。まして大群なら、
なにも持っていないと為す術はないでしょう。
でも、逆に言うと何かなくない?と思ってしまう…。
人間はとてもとても弱いけど、
だからこその強さがある。と思うんだけど…。

だいたい、前半の人間ドラマ部分長すぎない?
それが鳥の襲撃に絡むのかと思ったら、そうでもないし。

映像は、たしかにきれい。きれいというか、不思議?
どうやって撮ったのか…と思えるシーンが多いし、
常に画面映えし続ける主人公。美しい髪。
その美しい、きちっと整えられた髪が乱されるのは良い。

やはり、うまくいえないけど、こういう映画、は
現代の方がきっと映えるよなあ…
アホ映画にもなりかねないけど。
古くで、当時の技術で、やろうと思ったのは、
そして出来ていることはすごい。
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2.8/5.0
監督:アルフレッド・ヒッチコック
1963年のアメリカ映画