画面の向こうの、

観終わったときに書くところ。ネタバレがあったりします。

「バーレスク」

太っているというコンプレックスを持つ人が
バーレスクと出会い、自分を好きになっていく、成功物語
かと思ったら、そんな一筋縄では無い。

たしかに、TVに出てバーレスクを笑顔で演じられたけど
(TVに出る、ことそのものだけでは無い)
彼氏と思ってた人には遊ばれてただけだったし
教師はクビになって地域一帯に雇われなさそうだし
何より親との関係は溝が深まったんじゃなかろうか。
だって母親はバーレスクを見ずTVを消してしまった。
娘の心の否定。
まぁ、娘のバーレスクを見たいか?と言われると、
それはそれで一般的においても微妙だろうけど…

この映画の表のテーマがコンプレックスなら
裏のテーマは親子関係なんだと思う。いわゆる毒親

主人公ベティーが言う
「私にいま必要なのは自尊心を養うことよ
 (母親に対して)あなたと一緒に居てはできない」(うろ覚え)
素晴らしい台詞だと思う。

一方、
ティーと同じく身体にコンプレックスのあるスティーブン
父親が権力者なのか、何かあると言いつける癖があるみたい
だけど、ベティーに少しずつ心を開いていく
そしてTV出演もきっちと最後まで見て、受け入れられる
それを隣でみていた父親は、「酷い」と一蹴
父親はベティーを避難しているつもりだろうけど、
その言葉はスティーブンのコンプレックスを増幅させるものなのに。

どちらの親子もまだまだ問題がありそう。

そしてもう一つ取り上げたいのは、ロッタ
細く、顔もかわいく、歌もダンスも出来る。
そしてオーディション(というか決まってたようだけど)に選ばれるも
「私は豚のようなお腹」ということを言い、泣きながら腹筋。

やはり太っているなんて易しいテーマではなくて、
自尊心、それを育てる親の役目。世間の価値観、とか
深くて冷たくて重いものをテーマにしている気がする。

もちろんサクッとみれるし、
一般的には重い気持ちにはならないけど、
私なんかは暗く暗く考えてしまう。笑

世間の、親のつまらない価値観に囚われる人が
どうか少しでも減りますように。

この映画、情報が無さすぎて、
監督のお名前すら読めないわ…
いつも頼りのFilmarksにすら無い!

原題訳:牛が飛ぶとき
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3.7/5.0
監督:Tereza Kopáčová
2019年のチェコ映画(不確か)