画面の向こうの、

観終わったときに書くところ。ネタバレがあったりします。

「ヘレディタリー/継承」

タイトル通りの話、オチ。
そういう意味では読めすぎてまう…
けど、このタイトルだからこその、
「誰に?」「誰が?」という感覚も有り。
娘ちゃんが主かと思ったらすぐに違った…笑
関係無かったのは血の繋がってないお父さんだけだったのかな

日本ホラーの、ずーっと陰鬱とした感じに
海外特有のヒステリックさを持たせた感じ
お母さんの演技がとにかくすごくて
前半は殆ど、ホラー的な怖さではなくて、
母の狂気と陰鬱さって感じ
後半になるにつれ、望んでいるホラー感が増してきて、
ようやくちょっと楽しくなってくる、と思ったら終わり…

ちょっと助長に感じない…?
怖い人には怖いかもしれないけど…
邪教ものなら邪教もので、そっちメインの方が好きかな…
この続編が見たい。
あぁこの感情は「ラストエクソシズム」的。
もっとおばあちゃんとのほのぼのシーンとかみたい…

でもエクソシズムとか出てこないし、
悪魔とか霊とかの、知ってる人しかわからない話じゃ無いから
そういう意味ではホラーに馴染みが無い人にも見やすいのかも。

誰でもすぐに発生させられる、
馴染みのある音を恐怖に使っているのは意地が悪くて好き。笑
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3.5/5.0
監督:アリ・アスター
2018年のアメリカ映画

「女王陛下のお気に入り」

私ってもしかしてドロドロ劇好きじゃない?
いやそんなこと無いと思うんだけど…
少し助長に感じた。

いちおう史実の人物が出てきて、
政治的な話も出てくるけど
別に関係ない、フィクション
そして女同士の戦い
日本の映画やドラマの「大奥」のよう。

とにかくきれい。
無言の、表情で魅せる演技、
それに耐えうる演技力と美貌、或いは醜さ
優雅な音楽が広がりと余裕を感じる。
映画そのものの余裕、というか。

終始衣装のレースに拘りを感じる
きっと制作陣のなかにレースフェチが居たんだわ…
ただ、べつに当時のレースを使っているわけではなく、
衣装のデザインと共に現代的。
台詞の感じも現代的。Fとか言いまくり。

なんかなぁ…もう一悶着欲しいような…
結構あっさりと逆転し、そのまま勝った
でもそれはあくまで女王の僕なだけで
それ以上のし上がれないし、全てを手にした虚しさ。
一方、女王はただ愛が欲しいだけなのに、
利用され、もはや冷たくされ、
それでも、だからこそ、性という愛の欲に勝てない。

兎は性欲の象徴。
踏み潰して勝ったつもりになっていても
女王には勝てない、逆らえない。

人間勝ち負けだけでは何も満たされない、という話かな
そう考えれば、国外追放になった側の方が、
本当の幸せをいつか掴めるのかもしれない。

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3.4/5.0
監督:ヨルゴス・ランティモス
2018年のアイルランドアメリカ、イギリス映画

「memo」

難しい…映画だ…
コント映画とでも呼ぶべきなのかしら?
コント的な、多分、笑いの場面と、
シリアスな強迫性障害の場面とが、
絡み合いというか、ううん…複雑。

何より私は「笑い」がわからないんだよね。
多分、笑わせようとしてる…みたいな…

日本の映画は、意図せずシュールになってたり、
意図せず説明不足だったりするけど、
たぶん、このシュールさ、語らせ無さって、
計算尽くされた世界観なんだろうなぁ。
強迫性障害の場面だけを真剣にやると、暗くなるから
コントさを突っ込んできているような感じ。

「実体験をもとにしている」というのが、
まゆこの、メモをとるなのか、
おじさんの、手を洗ったりしゃべり続けたい方なのか、
あるいは両方なのかわからないけど、
当人のつらさ、というのがすごく表れてる
だけど、実際に口にだして「こう思ってる」とかは無い。
かつ、環境や過去に対しての説明も無い。
(カウンセリング?行けるなら先生にも相談したら?とか
 親は知ってるの?どう思ってるの?とかは野暮なんだと思う)
ただただ、「本人」にフォーカスが当たっている感じ。
クラスのイジメられっこですら最後には「本人」が出てきてた

ようは、めちゃくちゃ良い映画なんだと思う。
けど好きか?と聞かれると、前半はコント多めで結構苦痛…
だから感想は一行目にもどる。難しい映画だ…。

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3.2/5.0
監督:佐藤二朗
2008年の日本映画