画面の向こうの、

観終わったときに書くところ。ネタバレがあったりします。

「ハウス・ジャック・ビルト」

待望の、レンタル開始
待望すぎて、あぁこんなに楽しみなんだったら
きちんと映画館に行ってみるべきだった
と思っていたけど、(如何せん映画館嫌い)
その感覚はDVD再生開始直後にも表れることに。
「監督の同意を得てカットしています」あぁ…

きっともっとグロシーンが多かったんだと思う
乳房を切り取るシーンが無いのは、
ラースにしては不自然だし
ほかの殺人もなんか薄っぺらい

あぁ…

でもでもやっぱりラースフォントリアーはそのもので
なんなんだろう。質感?台詞?表情?それを写すカメラ?
多分全部なんだろう、その何かや全てがとてつもなく好き
ほかの監督には真似ができないと思う
それは続くストーリーも同じで。

別にインタビュー読んだりしてないし
ほんとのことは知らないけど
でも「トリアー流サイコパス殺人鬼コメディ」という感じで
殺される女が馬鹿すぎたり、強迫性障害で大変だったり、
順番通りには仕留められなかったり、
弾が違うせいで冷凍庫で待っててもらったり
全体的に面白おかしく描かれている
…まぁそもそもサイコパス殺人鬼を面白く描こうってのが
ある意味すでに一般受けしないのかもしれないけど。

その面白おかしさをぐっと引き締めるのがヴァージとの対話
ラース映画のこういう部分に対しては
私の持ってる知識が無さ過ぎてかなしいのだけど
アートとは何か、愛とは何か、殺人とは何か…
この辺の対話はいつも通り、監督自身を重ね合わせたり
それに対してまた自分自身で皮肉ってみたり
…ぐっと引き締めつつもやっぱり面白いのかも。笑

家が建ったシーンは感動
その感動が何に対してなのか自分でも不明だけど。

あぁ完全版でもう一度みたい…

ヴァージの本当の立場だとか気持ちがわからないけど
あぁいう行動をするとわかっててあの最下層に来たのかしら
2層上はどんな地獄なのか、ちょっと気になる。笑

どうしても長く、ドラマとかでも良い感じの話ね、
と思っていたらwiki曰くやっぱりもとはそういう構想だったよう。
まぁドラマで長々とやってついてこれる人がどれだけ居るのか、
そっちの方が難しそうではあるのは確か。
だから、ドラマをみるように軽い気持ちでみるのが正しいのかも。
長いけどドッグヴィルとかとはまた違うんだよね

あのメインに置かれる宗教画がどういう意味を持つものなのか、
それだけでもうまく調べたいんだけどなぁ
ラースの映画はいろんな知識があるとより楽しめるモノだから、
私は多分一生、何度も繰り返しみるんだろう。

あの爽快なエンディング曲、音源欲しい!

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4.8/5.0
監督:ラース・フォン・トリアー
2018年のスウェーデンデンマーク、ドイツ、フランス映画

「アキラ」

もはや言うまでもないが、
奇しくも東京オリンピックを控えた2019年
今年中にみれてよかった。

とにかくセンスがすごい。
今でも沢山のひとにリスペクトされている
その理由が挙げるのも億劫なくらいわかる
街、服装、ネオン、落書き、謎の機械、
バイク、レーザー銃、人たちの格好良さ

金田の煽り文句が、
本当にいそうな頭の弱いヤンキー
って感じでとても好き
一方で大佐は、
実際にはいないような強い人で
あぁどちらもカッコイイなぁ。

アキラって何?その力は何なの?
この人たちは誰?等などなど
謎を置き進んでいくタイプの物語だけど
明かされないわけでもなく、
だからって明かされすぎるわけでもなく、
何か大きなメッセージ性があるとかでもなく、
劇中の街は大変なことになっているけど、
ただただ娯楽の映画で、美しい。楽しい。

名作なのはもう間違いなく、
あとはもうツボるかどうかは個人の嗜好性
男の子向け、という感じはするかな

かぐや姫と続けてアニメーションをみてるけど
ほんと、アニメはこうであって欲しい
ぬるぬると動く動く人が描いた独特の動き
いったいどういう苦労で成し得たのか、
もはや想像も追いつかないけど。

まだあと一週間ほど2019年は続くけど、
とりあえずは劇中のような街じゃなくて良かった!

あ、そういえば、
当時の流行りだったんだろうなぁ、な
袖の破れ方だけは気になっちゃって笑っちゃう…笑

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4.7/5.0
監督:大友克洋
1988年の日本映画

「かぐや姫の物語」

つち、くさ、むし、とり、けもの、
めぐる、まわる、いきるということ

ジブリはこの「生」というテーマをよく扱うけど
これがひとつの頂点なのではないだろうか

現代は、便利だけど無機質なものに溢れかえっていて
そのすべてが当たり前ではないということ、
この映画の土や草のにおいが
もう届かない人すら多いのかもしれない。
私はそれが恐ろしい。
天の衣を纏ってしまったわけではない筈なのに。

だからと言って、私自身、この、便利性を手放せもせず、
では何が出来るのか?と問われれば
ただ感謝していただくことしか。

でもそれで良いのだと思う。


日本の四季の美しい色が淡くはっきり描かれていて
かぐや姫の眼に映っている色なんだろうなあと思う
走って逃げるシーンの黒々とした木々、
庭を偽りだと悲しむシーンも黒っぽい。
そう思うと宮中は本当はもっと煌びやかなのかもしれない。

昔々の物語を、うまく現代的要素も取り入れていて
主要キャラ達は少しポップなキャラ付けで、
台詞も今風、見やすく、聞きやすい
でもお歯黒やら名付けやら、きちんと押さえるとこは押さえ
長めの映画なのに集中力途切れずみられた

お金目当ての、ただキャラクターが出るアニメじゃなくて
こういう映画を、きちんと
世界に、日本人こそに、知ってほしい
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5.0/5.0
監督:高畑勲
2013年の日本映画