画面の向こうの、

観終わったときに書くところ。ネタバレがあったりします。

「死霊館 エンフィールド事件」

死霊館はとてもとても好きだったし、怖かったし
一方でアナベルはぜんぜん記憶に残ってないから
これも期待しないでみたけど、ちゃんと怖い!
よくよく見ると、タイトルからして系譜として別なのね。

関係ないけどシリーズとしていろいろ出ててとても笑った。
この映画の悪魔でさえシリーズ化しようだなんて。

ジェームズ・ワンはとにかく音とカメラワークが上手
ホラー演出的には、一作目のようなじわじわ系ではなくて
びっくり系が多いかも?だけど。
よく言われるような、「姿形がはっきり映ると怖くなくなる」を
ある程度、或いはかなり、覆してるホラーなんじゃないかと思う。
とは言えあのオモチャの男はちょっとCG感がありすぎて興醒め。
あと後半アクションモノ感が出てたのがすこし残念

かなりきれいに感動寄りな感じで終わるから、
見終わった後に尾をひかないタイプ。笑

かと思ったら事実っぽい情報が公開されて、
じわりじわりと恐怖……事実なのかしら、
ぱっと検索しても確証が得られない
まぁ想像すると怖い。
そしてジェームズ・ワンは多分観客の想像力を操るのが上手

2時間超えっていうホラーにしては勇気ある尺で
その分良い意味でゆったりと話が流れて
そして恐怖シーンもたっぷり。

ジェームズ・ワンが監督の映画に今のところハズレなし

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3.6/5.0
監督:ジェームズ・ワン
2016年のアメリカ映画

「2重螺旋の恋人」

難解系だ…

どこが現でどこが妄想で、
クロエは何に堕ちているのか?

もっとこう、
美しい危険な恋、みたいな映画を想像してたら
全然違った。ホラー映画だった。笑

たぶん人それぞれ微妙に解釈が変わって、
それでいい映画なんだと思う
監督の中で答えがあるのか疑問。

私的には、まず、
クロエの体内に双子の肉塊が在るんだろうなっていうのは
結構序盤…?中盤?あたりでなんとなく気付いて
まぁでも一般的には知ってる知識じゃないのかも。
それで双子に固執しているのはわかったけども、
ポールとルイは、一体どこから妄想なのか…
ラストで男性が出てきているから、
同姓、恋人関係、とかは現実っぽいのかな。

猫は本当に飼っていたのかしら。
隣人は本当に存在しているのかしら。
猫のブローチを母親がつけているのは、
ルイの存在、あるいはすべてが妄想だって
確定させてる気がする。

あるいは最初の病院のシーンから、
現実のクロエはずっと入院、手術していたのかも。
ずっと妄想で、現実の時間はさほど経っていない。
うーん、隣人や猫を考えるとこれがしっくり来る気もする。
働いている美術館もなんだかオカシイし。

それにしても映像がきれい。肉体がきれい。
役者さんたちがきれいなのもあるだろうけど、
それ以上に表現として美しいことに専念している感じ

それにしても珍しく日本語タイトルが良い映画な気がする。
原題には意味として含まれていない「螺旋」をつけることで
謎めいた感じも出るし、映画のシーンも螺旋階段がキーだし。

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3.7/5.0
監督:フランソワ・オゾン
2017年のフランス映画

「マーターズ」

すごい、すごい映画だ

マーターズ Martyrs 殉教
ギリシャ語で証人を意味する」

何を思って、どうして、こんな映画を撮れるのか。
素晴らしいのほか言いようがない。

二転三転する、って言葉は私も今まで使ったと思うけど
この映画を差し置いてほかの映画に使えようか。

ほんとうに、何を思って作ったのだろう…。
余所さまはこれを悪い意味で使っているけど、
私は完全に良い意味、素晴らしい意味。
特に深い意思がないなら、それはそれですごい。

全体的なストーリー性のすごさ、それももちろんだけど
カメラワークと言うのか?撮り方がすごい。
冒頭、家族のシーン、殺戮、そして後半と
明らかに撮り方、こちらへの見せ方を変えている

ほんの少し長く感じるけど、
それは内容があまりに濃いから、
初見はそう感じるだけな気もする…。

あぁ、メイキングがみたい。
と思ったらディスクがめちゃくちゃ高騰している!?そんなぁ
でもとてもよくわかる。
私のような、見知らぬ同志には刺さりまくる。
かと言って大量に生産するタイプの映画では明らかにないし…

すこしズレた見方をすると、リョナ好きなんかにも刺さりそう。
ここまではっきりと痛めつける映画ってそう無いもの。
フランスグロは激しいのよね、逃げも叫びも攻撃も。好きだわ。

こんなの書きたくもないけど、
彼女が何を言ったのか?どうして自殺したのか?なんて
そんなことを考えて考えて答えを出そうとしているの、愚かすぎる。

とても、とても人を選ぶ映画なんだろう。
「グロ映画」「胸糞映画」「ホラー映画」として有名だけど
この映画はそんなちっぽけなジャンルじゃない。
…だからって神格化しすぎもしたくないけども。笑

求む、レンタル落ちじゃないディスク。
監督のほかの映画もみよう…。
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5.0/5.0
監督:パスカル・ロジェ
2007年のフランス・カナダ映画