画面の向こうの、

観終わったときに書くところ。ネタバレがあったりします。

「グッド・ネイバー」

あぁ…フィクションでよかった……。

下らないイタズラの計画、その実行で進む映画だけど
早々に法廷のシーンを入れることで、
少年たちの計画が明るみになったこと、
そして何か重大なことが起こったことがわかって
そして少しずつ明かされていく、事件と老人のこと。
ぐっと引き込まれ、続きが気になるようなつくり。

だから、誰かが誰かを殺してしまうんだろうな
と思っていたし、
かなり後半の法廷シーンまでイーサンを出さないのも
このミスリードを狙ってる巧い手なのだと思う

老人が本当に頭がオカシイとは流石に思えず、
警官が地下室に入ったシーンで病気で亡くした?と気付き
その後ベルが登場した時点で、確信に変わったけど

そしたら、ああ、まさか、ああ…。

老人の感情すべては明かされないけど、
奥さんが迎えに来たと思ったのか、
自分のあたまがおかしくなったと思ったのか、
どちらにしても、切なすぎる。

こんなにフィクションでよかったと思えるのも久々な気がする

法廷ですべてを知った少年たちは、
一体何を思ったのか。
最悪自殺、少なくとも何かの依存症とか、そういう、
そういう未来であってほしい、と思ってしまう…
だって、彼らは根からの悪人じゃないもの。

観客は本当の意味では興味の無い、少年たちの日常を
だらだらと入れるんじゃなくてほんの少し入れることで
この「彼らが根からの悪人じゃない」という感覚も持たせてる
少年だ、というリアリティ

またこれ、監督が全然無名?なのがすごい。
わかりやすく、ブレすぎず、かといってきれいすぎず、
小物類がほんの少し光る映像(実際にじゃなくて)
お部屋のこだわり映画ポスターが好き…笑

そもそも「グッド・ネイバー」ってタイトルが色々皮肉すぎる

「偏屈な老人」だと思っていても、
どんな人生があってそうなったのかは
話せてみたとしても、なおわからないかもしれない

あぁ、なんだか、本当に悲しい…
せめて、天国で奥さんと会えて欲しい。

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3.9/5.0
監督:カスラ・ファラハニ
2016年のアメリカ映画