画面の向こうの、

観終わったときに書くところ。ネタバレがあったりします。

「ゴーストランドの惨劇」

アマプラ散策をしていたら、
あの「マーターズ」の監督の映画だと気付いて、即視聴。笑

この監督、すごすぎない?

物語がどの方向に進むのか、
ある程度進まないと全然わからない。

簡単に言ってしまえば、
どちらが現実か?タイプの映画なんだけど
空想と、現実と、空想の中で見る夢と3層あって
まぁ私は相変わらず素直に映像を受け取るタイプなので、
当然のように、監督の思惑通りに、迷子。笑

この迷子感は終わってからも尚。

辛い現実から逃れるために空想をみている、
そんな妹に「しっかりして、目を覚まして」と呼びかける姉
姉からすれば、辛い現実で唯一心の支えになる妹に縋っている訳で、
切ない…

あの魔女と大男も、よく考えるととても切ない
おそらく母子?で「ただ人形遊びをしたいだけ」という…

空想の世界で、錯乱している姉を指して、
母が「あんな姿ひとにみせられない」と言っていた、
あのまんまの気持ちがきっと魔女にもあったんだろうな。
それがいつしか歪んでいってしまった。切ない…

たとえ空想であっても、大好きなラブクラフトに本を褒められ、
「生きる」ということを思い出して、辛い現実に向き合うことを決める。
一度の脱出はなんとか外へ通じ、助けられるわけだけど

これは、本当に現実?

まず違和感があるのは、警察官たちの会話
あの家を、ヤバいと知っているかのような会話…
…勝手な気のせい?笑

それから最後の母親
もちろん、空想の母親にも別れを告げる、的な解釈も出来るだろうけど
今まで空想の中でしか母親が出てきてなかった事を考えると、どうも…
助けられた、という空想な気がしてならない…

現実に助けられた、としたら、
この映像そのものが「ゴーストランドの惨劇」の映画化とも取れそう
最後に、映画でよくありそうなフォントでタイトルが表示されてたし
そう思うとこの謎のタイトルも納得が行く気がする。
「ホラーっぽい」タイトルというか。

助けられなかったなら、もう、死しかなさそう…。

ラブクラフト好きな妹の頭の中のよう、な洋館は
もう本当にどこが映っても素敵。
人形の山、謎のオブジェ、ライトの質感…
あのまま誰かのMVとか撮影できそう。笑

お人形ごっこで着させられるドレスやメイクも
良い意味でチープな、似合ってないファッションで、それが良い。
もっというと顔面が崩れているのも良い。
あと姉妹の大人版が全然違和感なくてすごい。

ラブクラフトがもう少し関わってくるのかと思ったら、
単に妹が好きなだけ、というのは逆に好き。

べつに「マーターズ」と比べて暴力的だとかは全然思わないなぁ
むしろ一般層でもみられる範囲の暴力だと思うけど…
殴るとかがメインだから血も多くは流れないし。
マーターズ」はまさにフレンチスプラッター

絶望、とか、惨劇、とかもそんなに…。

そして「マーターズ」と比べてしまうと
どーうしてもあっちの方が好きではあるけど、
いやぁ、パスカル・ロジェ監督、非常に好い。

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3.5/5.0
監督:パスカル・ロジェ
2018年のフランス、カナダ映画